名前について
その昔、銀座7丁目劇場で活躍していた先輩に「いんちき番長」さんという方がいらっしゃった。独特のテンションで一世を風靡した個性的な素晴らしい芸人さんだったが、僕には釈然としないことがあった。それはこの「いんちき番長」さんを劇場内で呼ぶときに”いんちきさん”と呼ばなければいけないのである。僕は後輩でいんちきさんは先輩なのだ。吉本の芸人のしきたりは実に上下関係に厳しい。考えて欲しい、いんちきさんであるぞ。何ゆえに”いんちき”という蔑称にさんづけしなければいけないのであるか。”いんちき”ときて相手を卑下すると見せかけて、”さん”で敬う。矛盾しまくってるだろう、そんなの。”うんこ野郎様”である。だいたい芸人はそういう呼び名が多すぎる。元チャイルドマシーン、現構成作家の樅野君は後輩から”もみ兄”と呼ばれる。兄はもちろん兄さんというこの世界独特の呼び方だが、”もみ兄”って・・・・・ちょっとエッチじゃないか!もしくはめちゃくちゃマッサージがうまい達人のようではないか。
「昨日、もみ兄におっぱいを揉まれて気持ちよかったです」とか、
「肩がこってるならもみ兄のとこいけよ、コリなんてすぐ取れるぜ!」とか。最近知った芸人に”天狗”というコンビもいた。なんだ天狗って。
「どうもはじめまして天狗です」。そんな風に丁寧に挨拶されてもしょせん天狗なんでしょうがい?後輩から見れば”デッカちゃんさん”でぞ。ちゃんかさんかはっきりしろ!アホマイルドなんてこの間後輩から”アホさん”って省略されていたぞ。”ルート33さん”もさんが多すぎてややこしいわ。関係ないけど、中日の井上選手は身につけるものが全部ピンクのものだったときのあだ名が”ピンキー”で、それが水色に変わったので新しいあだ名を募集したところ決まったのが”将軍”だぞ!なんでそうなるのよ!水色に何か将軍要素が含まれているなんてわしゃまったく知らなかったぞ。
しかしそんな私も数年前後輩から、Jrさんみたいなかっこいいあだ名で呼ばれたくて、自分のことを「ビック」と呼んでくれと言ってみたものだ。いやぁ若さってただただ恐ろしいですね。しかしこの呼び名今もしっかり守っているのはピースの綾部とインパルスの堤下だけだ。確かに俺ぐらい小さい男にビックなんて言えないだろうが、もっと言ってくれよ。というわけで今日から僕のことはビックと呼ぶように。
「悩み事があるならビックにいいなよ、あいつなんとかしてくれるぜ」
ってかっこいいなぁ。そういえば”悩み事を隠すのあんがい下手だね”という歌詞を爆発的にヒットさせた田原俊彦さんは自分を”ビック”と記者会見で言ってから業界を干されたんだっけ?あらら、不吉な名前ですね。恐いのでやめときましょう。ね、やっぱり小さいでしょ、俺?



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