「メルシー僕(by竹中直人)」
「メルシー僕(by竹中直人)」
心の中にフランス映画「ベティブルー」を飼ってる女は面倒くさいと言われる。尊敬する浅草キッド水道橋博士さんは、あれは自意識過剰な放火魔、くまえりと一緒だと抜群の例えをインタビューで発言している。
しかしだ、何を隠そう、俺大谷は大学生の頃、この映画に感銘を受けまくった男なのだ(恥)。正直、今後博士と会ってもこの話題は知らん振りだ。
その後ほとんど意味は分からないようなものまで観まくる、フランス映画好きに
なっていた。
「女と男のいる舗道」、ゴダールのおそらくおしゃれなんであろうこの映画も意味は分からんのに感動して、高田馬場の名画座の前で立ち尽くしたものだ。
あとはジャックタチやジャジャックベネックスはもちろん、パトリスルコント、「奇人たちの晩餐会」なんかは大好きだ。
この春からUSENでレギュラー番組「ダイノジ THE MOVIE」が始まった。
映画好きではあったが、1時間丸々映画だけ語ることができると思うと不安もある。
ただこれから新しいジャンルのお仕事は増やしたいので今はひたすら、大地さんも俺楽しく、勉強のつもりでやらせてもらってる。
まぁ映画部のような感じだ。
番組の中で役者さんや監督さんにインタビューする企画があったりするのだが、
しょっぱなにフランス映画祭に行って、「情痴アヴァンチュール」の主演女優リュディヴィーヌ・サニエさんにインタビューすることになった。
俺はド緊張した。憧れのフランス映画女優。
垢抜けない大学生の頃、小沢健二やウッディアレンのように彼女を子猫ちゃんと
呼んでいた俺、茶碗にカフェオレでなくコーヒー牛乳を注いでなんとなくフレンチライフを満喫していた俺、その俺がフランスの女優さんと会うのだ。
彼女の前でエアーギターをする大地さんも緊張からか、それとも甘いものが切れたための病気からなのか、ひたすら震えている。
まるで狼に小屋を吹き飛ばされた3匹の子豚のようだ。
おもむろにドアが開く。
「ハロー!!!!」
会場の部屋に現れたサニエさんは尋常じゃなくテンションが高かった。
しかもなぜか英語で挨拶してくれた!!!?
「こん・・にちわ!さぁはじめましょう!」
なんと日本語まで!!!
そう彼女はエステのCM等で日本には馴染みの人だったのだ。
なんだか拍子抜けだったが、それでもインタビューは最高の時間だったと自画自賛してる。
僕はフランスの現状やフランス映画の現状を丹念に聞いた。
不思議なくらい自分が観て来たこと、好きだったことが役にたちまくった瞬間だった。
おーぃ!!あの頃、独りで悶々と映画館に通い続けた俺!!
無駄じゃなかったよ!!!!
映画の中の彼女は最高の芝居をしてる、とんでもない存在感だった。
インタビューが終わり、僕らのサインの入ったサングラスを嬉しそうに持ち帰った彼女にとてつもなく感動した。
この映画の主人公のように俺たち二人は夢遊病のようにその場に立ち尽くした。
俺は思った、またフランス映画を観るぞ、と。心の中のベティブルーがまたもや俺に火をつけたのだ。
ありがとう自分、メルシー僕!だ。
今度博士の家に招待されたら、その膨大なDVDのコレクションにそっと「ベティブルー」をまぜとくつもりだ。



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