石と薔薇
「90年代の主役はオーディエンスである」
これがストーンローゼズが発した一番の名言。
そしてそれは数多のロックフェスの思想にも影響を及ぼしたと思う。オーディエンスやリスナーが楽しんで歌って踊って初めて空間が始まる。クラブでロック聴いて踊ること。そこからシーン自体に影響を及ぼしたりね。もしかしたらネット社会の到来も見据えていたのかもしれない。音楽自体がケミカルに取引される、だからこそ体感することが本当に核になるんだって。そう思うと本当凄いなぁって思う。サムクックやダニーハザウェイのライブ盤におけるお客の大合唱を彷彿とさせるライブとその意義。アメリカインディロックのようにジッと耳を傾けるのもいいのだけどね。考えてみたらお笑いだって、そういうもんになっていってるような。テレビは短い時間でキャラクターを消費するもんになったり。もちろんそうじゃない人もたくさんいるんだけど。でも閉塞的な密室芸はやはり面白いし、そうやってマニアックに楽しむことができることが、この国が世界で一番レベルの高いお笑いをやってるって
いう理由であると言えるかもしれない。
THE STONE ROSESのファーストアルバム「The Stone Roses」を高校時代
聴きまくった。その当時(80年代終わり)はイギリスのロックが全然盛り上が
ってなかったような気がする。でもそうでもないかも。でもそうかも。スミスくらいだったような気がする。自分が知らないだけだったんだろうけど。スティングはかっこつけて
てなんか苦手だった。いやスティングがかっこつけてたんでなくて、スティングを好きな奴がいてそいつがかっこつけてたんだ。あとはU2とかね。クラスにU2ファン結構いたなぁ。みんな「ヨシュア・トゥリー」聴いてたもん。
だからかもしれないけどU2好きになるまでむちゃくちゃ時間かかったなぁ。
ここ2~3年だもん。U2聴きだしたの。あはは、遅い。
ともかく「こいつらなんかやってくれそう」っていう気概と、かゆいところまで手が届くうまみ、この両方がなんでもそうなんだけど、好きになる条件だったような気がする。
U2の大きな挑戦込みで大リスペクト送ってますけど、今や。多感な時期だったから、とに
かくヒットチャートで流行っている楽曲より背伸びして音楽を聴こうとしてた。
大人に話しかけてレコードたくさん持っている人のところに行って、ひたすら60
年代70年代の名盤をテープにダビングさせてもらってました。
ところが東京ではそんなとき、とんでもないことが起きていた。
ストーンローゼズの曲がかかるインディクラブイベントでは会場はダンスの嵐だ。みんながロックで踊るんだって、大きなウネリのようなもんが押し寄せてきてた。
いまだ田舎の自室でポゴダンスしまくっていた純朴な童貞大谷がそんなことに気づくのは随分先のお話。
上京して、宝島で特集していた下北沢へすぐに向かった。
下北沢は今みたいに若者がたくさんというより、どこか下町の風情を残した牧歌的な街だったけど、中古CD屋さんや古着屋さんがたくさんあって、おしゃれば若者が増えていた。劇場やライブハウスもあるから、本当ここからユースカルチャーが誕生するんだっていううねりみたいなもんが充満していたのだ。
そんな中ひときわ輝く「ZOO」というクラブ。
今のミスドの前あたり。天下寿司の地下。今はキャバクラだっけ?あそこ。
ここで後の90年代のポップカルチャーの中心人物がたむろしていると聞いた。
とにかく憧れた。
いやー憧れた。
何度もクラブの前を通り過ぎては、自分のだせぇバッシュとケミカルウォッシュのジーパンを見て頓挫していた。今だったら絶対に逆にそのファッションで行くけど(笑)
そんなわけでボコボコクラブが誕生していた。
夜な夜な狂乱が繰り返された。
始まりはストーンローゼズだった。
いやそんなこともないかな。
この一枚目のアルバムはとにかく完成度が高い。このアルバムをして「奇跡」とか「魔法」って言葉をよく使う人がいるけど、それ以外に適切な言葉がないほど、完璧なアルバムだと思う。全て揃っていて抑制が聞いている。スタイルよくてかわいくて、でも人前では俺をたてて、夜はベッドでとてつもなくスケベ、メシもうまけりゃ風呂たくタイミングもばっちり、金の管理もしっかりできる女性、そんなアルバムだ。
イントロから徐々に気分が高揚していく一曲目「I WANNA BE ADORED」は堂々のロックスター宣言だ。「憧れたい」だもん。タイトル最高。そう考えたらオアシスのデビューも同じだったよね。ロックンロールスターだもんね。イギリスのかっこいいバンドに共通することなのかもね。でっけえ風呂敷を広げるっていう。
このアレンジ、どんだけワクワクさせるんだよって思うもの。それに女を軟派して一人でハンドル握らせて崖から落として楽しむ殺人鬼の歌がポップソングとして聞こえるように機能してるところとか、これぞロックのリリックの面白さ、自由度なんだよなぁって感心してしまう。ストーカーの歌がメルヘンなラブソングに聴こえるってこと。ポリスの「見つめていたい」と一緒だ!(スピッツの歌詞にも多いよね~)
「MADE OF STONE」っていうんだけどね。崖から落として下で燃えてゆく自分をふった女に「君は石でできているのかい?」と尋ねる、ちょっとゾッっとする歌だ。
つまり彼らのバンド名THE STONE ROSESとは“ROSES”という甘美で美しい美意識と、“STONE”という心に温かみのない狂気さ、そのどちらも兼ね備えているという意味なのだろうな(本当かどうか知らないけど)。
2曲目の「SHE BANGS THE DRUMS」や6曲目「ELEPHANT STONE」のイントロが鳴ると血が騒ぐなんて人も多いのではないでしょうか?久しぶりに引っ張り出して聴いてみたらアレンジの秀逸さに改めてびっくりする。曲の良さは昔から何度も確認ずみだけど。いろんなバンド聴いて、また聴きなおすとね。演奏がいいじゃんって。
リズム隊がしびれる。ハイアットやスネアのタイミングがこれでもかってくらいにびしばしときまる。ダンスミュージックってことをちゃんと考慮されていたんだろうなぁ。
絶対黒人音楽好きだよ、この人ら!って思いましたもんねぇ。
ヒップホップとかやってる人にも聴いて欲しい、“リズム”の傑作もんだと思う。
正直ね、いや正直よ。その当時は
“おーっ!なんか俺、かっこよさげな音楽聴いてるな”って感じだったけど、今聴
くと全てが必然だったんだよね。彼らが出ていったマンチェスターから数年後に
オアシスが出てきたり、何年か後にフジロックが開催されたりさ。体感、体感だもの。
余談だけどマンチェスターって言ったら、僕はすぐにハッピーマンデーズを思い出すのね。
銀杏BOYZの「あいどんわなだい」(大好き!)ってハッピーマンデーズ聴いてこれだって思って作ったって峯田君が雑誌で言ってて、それって凄くない?
やっぱり天才だよ。インプットあれでアウトプットあれでしょ?
完全オリジナルなダンスミュージックだもん。
世界のどこに行っても聴けないでしょ?
みんなはどう思うか知らないけど“オタク”って大事な要素だと思うよ。とても。
「FOOLS GOLD」のグルーヴ感とか本当にゾクゾクっするやろう(ザブングル)。あのRUN
DMCはこれをバックトラックにラップをしたりしたらしい。いいラッパーはリズムに対して自覚的だし、トラックにもすこチョイスするっていうセンスを感じれるものね。グルーヴっていうものに意識的でありながら独自なスタイルで分かりやすく(これ大事だと思うんです)ライムを並べるヒップホップはやっぱりかっこいいと思う。日本でもライムスターとかそういう感じですよね。
やっぱりロックフェスに戦いを挑むべきなんですよ。
ヒップホップの人たちは。村社会にいるより絶対にいい。
つまりさ、ストーンローゼズって今や一般的になったロックのミクスチャー的な解釈の先進者だったんだよね。東京ではかっこよければなんでもありみたいな空気があって、上京してから下北沢や渋谷でいろんなレコードやCDを探すのが本当に楽しかったんだけど、完成度っていう点ではやっぱりこの一枚目ほどワクワクしたのってそうない。どこまでいいんだ~って思いながら聴いていたもの。
音楽は一方向、一元論で楽しんじゃ駄目だって。いろんなもんがあるんだって教えてくれた傑作でもある。これはローゼズ、爆音で聴きたいなぁ。回顧主義でなくね。郷愁とは違う、今だからこそ聴こえる音の隙間もあると思うんですよねぇ。
みんなで合唱したいし。
あぁ、再結成して夏フェスでもでないかな?
そしたら絶対ケミカルウォッシュのジーパンで駆けつけるけどね(笑)



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