1sec.のレビュー
いきなり失礼だが10-FEETって「キン肉マン」みたいなバンドだと
いつも思ってしまう。
ダメ超人だった主人公が必死の努力と周囲の支えで地球の
みんなを救うヒーローへと成長する物語。
もちろん10-FEETがダメなミュージシャンってことが言いたいわけじゃなくて、
彼らの魅力の一つにバンドの成長物語を感じるから。
むちゃくちゃルックスがいいわけでもないのに(失礼)、
ライブを観てたら本当にかっこいい瞬間が何度もあって、
いつのまにかグッときて、自分だって友達や家族、
誰かに支えられていることを思い返すことができたりして。
TAKUMA君の唇がちょっと分厚いからかなぁ(笑)
36の親父が柄にもなくジャンプのキャッチフレーズ友情・努力
(あと一つなんだっけ?)なんてことを思いかえしたりして
勝手に熱くなったりする。
バンドってつくづく面白い。バンドって自己完結した個人が集まった集合体
なのに、環境やライブという直接的なコミニケーションの現場での
化学変化によって、個人の力では及ぶことができない無限大の力を
秘めた表現集団になるんだから。
ちょっと漫才に似てるかも。
漫才も年月をかけて完成していく。
若いころと違って、それはその年では嘘くさいってもんがうけなくなる。
リアルなもん。
自分の言葉で、自分の生き方、
そんなものがボケとつっこみに込められてくれなきゃお客さんは
笑ってくれなくなって。
そんな自分のライフに沿ったリアルな笑いを突き詰めだしたときと
同じような充実した時期に今の10-FEETはいるのもね。
10-FEETの2008年のアルバム「VANDALIZE」は
そんなバンドならではの紆余曲折を経てバンドが掴んだ
栄光の結晶=最高傑作だと思ったし、そこからのツアー・
4万人を動員した念願の自主企画フェス「京都大作戦2008」の成功、
さらにさらにアメリカ西海岸ツアーを敢行し、
これ以上ないほどの充実した1年を過ごした彼らの待望の新しい音源、
いやがうえにも期待せずにはいられなかった。
ただ、期待値が高いとがっかりな気分になったときも失望がでかい。
正直聴くまでは怖いなぁなんて思ったりしたのも事実。
そりゃそうだ。バンドの充実度で言ったら前作でやりきって解散、
なんていうこともあったって不思議じゃないだろう。
結論から言いましょう。
最高です、これ。
若い読者にはさっぱり分からないであろうが、
「キン肉マン」で言うなら屁のツッパリはいらん大傑作シングルだと思う。
そうだそうだ。マキシマム・ザ・ホルモンの「爪爪爪」のときも思ったのだが、
状態がすこぶるいいときのバンドって3曲入りのシングルとかをリリースしたら、
その楽曲どれもがバンドの魅力の断片を少しだけ表現したものになるのだ。
いやこれはあくまでも自論なんだけど、絶対そうだと思う。
今出せるもん全部が、見事に上質に集約されているものになるのだ。
今作の3曲はとにかくメロディがすんげぇいい!
楽曲がよくてラウドでエッジがたちまくる、
これって10-FEETの十八番だと思うが、
このシングルでは更に無駄なものを排除し
シェイプアップされまくったアレンジが秀逸だ。
タイアップも獲得し多くの人が耳にするであろうM-①は一瞬で
フロアを着火させる疾走感全快のナンバーでこれからも
ライブでは定番になるであろうし、
初期の彼らがイメージされる温かな世界観を持つM―②、
この2曲における尋常じゃなくビルドアップされた肉体性は、
ともすれば野暮ったくなってしまう彼らの楽曲(それが魅力でもあるのだが)
をスッキリ聴かせることに成功している。
それに加えて白眉もんがおそらくニューアルバムの方向性を想起させる、
バンドのアンサンブルのバランス感が絶妙のミドルチューンM-③。
泣きのメロディが本当にいい。こんな楽曲もやるんだって素直に嬉しく思うし、
彼らが過酷な中、前向きにバンドと向き合っていたのがよく分かる
名曲に仕上がっている。
彼らの人間くささ、綺麗ごとだけじゃなく、
人間の業にまで迫った表現の深さはやはりバンドであり続けたから
手に入れたものだと思う。
つくづくバンドって面白い。
だからいつだって僕にとってスーパーヒーローなんだ。
この先に俺らを連れていってくれそうな気がする堂々とした大傑作だ。
こりゃ、このシングルから連なるであろうニューアルバムが本当に楽しみだ。
若い読者にはさっぱり分からないであろうが、
「キン肉マン」風に言うならニューアルバムは女房を質に
いれてでもゲットするつもりだ。
あっ!ここまで書いて思い出した!
ジャンプのキャッチフレーズあと一つ思い出した。そうそう・・・「勝利」だ。
努力・友情・勝利だった。青臭いけど、絶対に忘れてはいけないもんだ。
いつだってそれだけが僕を動かすのだから。
うん、ちゃんと勝っているね、10-FEET!
ありがとう、京都のキン肉マン(失礼)
「心に愛がなければいいバンドじゃないのさぁ」




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